●三菱UFJアセットから「オルカン高配当」新登場!~カバードコールとの違いから「都合の良い商品」は存在するのかを検証~●

「キャピタルもインカムも両取り」できる神商品なのか?

ここで気になるのが、「カバードコールと違って値上がり益も狙えるなら、配当ももらえて一石二鳥では?」という発想です。

これは実際、SNSなどでもよく見かける期待の仕方です。

ですが、ここにはいくつか見落としがちな注意点があると考えています。

① 分配金は「追加のボーナス」ではない

分配金は、ファンドが保有する株式の配当や値上がり分を切り出して現金化しているだけです。
分配した分だけ、理論上は基準価額(キャピタル部分)がその場で下がります。
普通の「オルカン」のように分配せず全額再投資するファンドと比べると、複利効果という点ではむしろ再投資型のほうが有利に働きやすい構造です。

② 銘柄構成が変わる

高配当銘柄を集めるということは、無配・低配当のグロース株(成長株)が自然と除外されやすくなるということでもあります。
この数年、世界株式の値上がりを牽引してきたのは配当を出さない米国のハイテク企業が中心だったことを考えると、「高配当株バスケット」は普通のオルカンに比べて値上がり益の伸びしろが抑えられやすい構成になっている可能性があります。
実際、今回の商品も米国株比率が通常のオルカンより1割ほど低くなる見込みです。

③ 分配金には都度課税される

NISA成長投資枠であれば非課税ですが、特定口座で保有する場合は分配金を受け取るたびに課税されます。
再投資に回すはずだったお金が税金分だけ減ってしまうため、複利効果という観点では不利になります。

10年間シミュレーションしてみた

言葉だけだとイメージしにくいので、実際に数字を当てはめて10年間の積立投資をした場合の資産推移を計算してみました。
あくまで思考実験用の仮定の数値なので、将来の実績を保証するものではない点はご了承ください。

前提条件

  • 新NISAを利用し、毎月3万円を10年間(120ヶ月)積み立てる
  • 新ファンド:オルカン高配当に月3万円を積立
  • 従来ポートフォリオ:従来オルカンに月2万円+カバードコール型に月1万円を積立(カバードコールに一部を振り分けることで、リスクを取った分だけ分配を上乗せするイメージ)

各商品の年率想定(トータルリターン=値上がり率+分配金利回り)は次の通りです。

商品年率トータルリターンうち分配金利回りうち値上がり率
オルカン高配当(新ファンド)6.0%3.0%3.0%
従来オルカン6.0%0.0%6.0%
カバードコール型4.22%(税引後)7.0%(税引後・手取り)−2.78%

カバードコール型は少しややこしいので補足します。
この手の商品は米国資産を組み込むことが多く、NISA内であっても米国の源泉徴収税(10%)は還付されません
そこで「手取りの分配金利回り7.0%」から逆算すると、税引き前のグロス分配金利回りは約7.78%になります。
さらに「カバードコールは最終的に一般的なインデックスに負ける」という前提(グロスのトータルリターンをインデックスの6%より1%低い5.0%と設定)を置くと、値上がり率は自動的に約−2.78%となり、税引き後の実質トータルリターンは4.22%まで下がる計算です。
分配は高く見えても、税金と上値の抑制という2つのコストを負っている、というのがこのモデルのポイントです。

ケースA:分配金を毎月、同じ商品に再投資した場合

商品10年後の評価額
累計投資元本360万円
新ファンド(オルカン高配当)487万4,203円
従来ポートフォリオ(オルカン2万+カバードコール1万)473万3,096円
 うち従来オルカン部分324万9,469円
 うちカバードコール部分148万3,627円

同じ360万円を積み立てても、10年後には約14万円の差がつく結果になりました。
原因はカバードコール部分です。
分配金利回りだけ見れば7%と高いのですが、米国源泉徴収税で目減りしたうえ、上値も抑えられているため、実質トータルリターンは4.22%まで下がってしまいます。
その結果、月1万円をカバードコールに振り向けた分だけ、全体のパフォーマンスが新ファンド(オルカン高配当、トータル6.0%)に見劣りする形になりました。

ケースB:分配金は再投資せず、現金として受け取り続けた場合

生活費の足しにするなど、分配金を都度使ってしまうケースも見てみます。

商品10年後の評価額(NAV)10年間の累計受取分配金合計
新ファンド(オルカン高配当)418万3,440円59万3,757円477万7,197円
従来ポートフォリオ429万6,486円37万4,813円467万1,299円
 うち従来オルカン部分324万9,469円0円324万9,469円
 うちカバードコール部分104万7,017円37万4,813円142万1,830円

現金として積み上がる分配金は、新ファンド(オルカン高配当)の方がカバードコール込みの従来ポートフォリオより多くなりました。
これは、カバードコール部分の投資額がそもそも月1万円と少ないうえ、米国源泉徴収税で目減りしている影響です。
「分配金が高い商品を混ぜれば混ぜるほど得」というわけではなく、その商品単体の分配金利回りだけでなく、ポートフォリオ全体に占める比率や税金の影響まで見ないと、実際の手取りは見えてこない、ということがこのシミュレーションからも分かります。

次は:それでも「高配当型」に意味がある人



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