MMPAです。
「将来のアップルやマイクロソフトのような企業を見つけたい!」――そんな夢を持って、新NISAで投資信託を選ぶ方も多いはずです。
今回は、アエラ増刊「AERA Money 2025秋号」の記事をもとに、S&P500と全世界株式を比較しつつ、未来のGAFAM予備軍(ユニコーン企業)のデータを紹介します。
S&P500と全世界株式、どちらが有利?
新NISAで積立を始める際、初心者がよく迷うのが「S&P500か全世界株式か」という選択です。S&P500は米国株のみの株価指数で、米国株が不調になると逃げ場がありません。ただ過去10年は、アップルやマイクロソフト、エヌビディアといった巨大IT企業の株価が急上昇し、全世界株式の成績を大きく上回りました。
一方で全世界株式は、米国以外の国から新しいスター企業が出てきた場合、その株価の上昇を取り込むことができます。つまり、国の偏りが少ない分、リスク分散につながるわけです。
未来のGAFAM=ユニコーン企業とは?
記事では、「ユニコーン」と呼ばれる創業10年以内、企業価値10億ドル以上の未上場企業に注目しています。未来のアップルやマイクロソフトのような企業がここから生まれる可能性があるためです。
2025年1月時点での世界各国のユニコーン数は以下の通りです。
- 米国:708社(世界の55%)
- 中国:162社
- インド:68社
- 日本:8社
米国はダントツで多く、未来のGAFAM級が生まれる確率が高いことがわかります。さらに、米国はユニコーン企業育成のための投資額も19.8兆円と他国を大きく引き離しています。
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専門家の見解
- 野村アセットマネジメント 石黒英之氏
「今後20年間は米国株最強の時代が続く」とコメント。米国は新興企業に対する資金供給が圧倒的で、未来のスター企業が続々と登場する土壌があります。 - 三菱UFJアセットマネジメント 今井陽介氏
米国では過去20年、労働生産性が年率2%程度伸び、研究開発費やソフトウェア投資の比率も増加。AIやバイオなど先端分野での競争力が株価上昇を支えています。ただし、新興国の台頭次第では全世界株式がS&P500を上回る可能性もある、とも指摘しています。
つみたて20年のシミュレーション
毎月1万円を20年間積み立てた場合の結果(過去20年データ)は以下の通りです。
| 投資先 | 元本 | 評価額 |
|---|---|---|
| S&P500 | 240万円 | 1284万円(5.3倍) |
| 全世界株式 | 240万円 | 899万円 |
| 先進国株式 | 240万円 | 1014万円 |
| TOPIX | 240万円 | 640万円 |
米国株中心のS&P500は圧倒的なパフォーマンス。全世界株式は米国以外も含むため、分散効果はあるもののリターンはやや控えめです。
投資の判断ポイント
- 投資期間:10年単位で考えるならS&P500でもOK。長期30年以上なら全世界株式の分散効果も魅力。
- 投資スタイル:「過去の成績重視で米国株中心」か「将来の不確実性に備えて分散」かで選択。
- 分割投資:迷う場合はS&P500と全世界株式を半分ずつ積み立てる方法も有効。
私の考察
投資の基本は、やはり 分散 です。
未来のGAFAM級企業は米国に多いとはいえ、絶対ではありません。
過去20年を振り返ると、中国やインドなどの新興国からも急成長企業が出現しています。
米国一辺倒では、その国の景気や政策リスクに左右されやすく、想定外の暴落時にはダメージも大きくなります。
そこで考えたいのが「地域の分散」と「資産クラスの分散」です。
- 地域の分散
- 米国中心(S&P500)はリターンが大きいが偏りも大きい
- 全世界株式は米国以外の国も取り込むためリスク低減効果あり
- 将来のGAFAM予備軍が米国以外で出現した場合も取りこぼしを防げる - 資産クラスの分散
- 株式だけでなく債券や現金を一部組み合わせることで下落リスクを和らげる
- つみたてNISAやiDeCoで株式中心に積立つつも、リスク許容度に応じて資産を分散する
さらに、時間軸の分散も重要です。
積立投資は「長期・毎月コツコツ」が前提なので、短期的な株価の上下に一喜一憂せず、世界全体の経済成長を取り込む姿勢が安定した資産形成につながります。
例えばS&P500と全世界株式を半分ずつ積み立てれば、米国株中心ながら世界全体にも分散されたポートフォリオが完成します。
これなら「未来のGAFAM」も逃さず、同時に地域リスクも抑えられるわけです。
結局のところ、投資信託選びで大事なのは「儲かるか」だけでなく 「不確実性に備えつつ、安定的に資産を増やす方法を選ぶこと」 です。
未来のスター企業の恩恵を受けたい気持ちは誰にでもありますが、基本は分散投資を軸に、リスク管理と資産形成を両立させることが最も現実的な戦略と言えるでしょう。


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