MMPAです。
「保有している株を証券会社に預けるだけで、毎日金利がもらえる」
そんな魅力的な仕組みである「貸株(かしかぶ)サービス」。 口座を開設してなんとなく「全銘柄を貸株オン」に設定している方も多いのではないでしょうか?
しかし、仕組みやルールを理解せずに放置していると、「せっかくもらった金利以上に税金や優待で損をしていた」という事態に陥る可能性があります。
私自身はこれまでリスクは考えたことがありませんでした。
配当のほかに金利でお金入ってくるんだからいいじゃん!くらいの感じ。
今回は、貸株のメリット・デメリットを具体的に整理し、「どの銘柄なら貸株にしてOKか」を判断するための明確な運用基準を解説します。
貸株の基本とメリット
貸株とは、自分が保有している株式を証券会社に貸し出すことで、その対価として「貸株金利」を受け取れるサービスです。
- 売却予定のない長期保有株から自動で現金が入る
- 年0.1%の標準金利から、銘柄によっては年数%〜10%以上の高金利がつく
株価の変動や配当金とは別に「第三のインカムゲイン」が得られる点は大きな魅力です。
・知っておくべき貸株の3つの落とし穴・
しかし、メリットの裏で意外な「落とし穴」があるんです。
実際の数値や制度上の違いを見ていきましょう。
1. 配当金が「配当相当額」になり雑所得化する(税制上のデメリット)
貸株中に支払われる配当金は、本来の「配当金」ではなく「配当金相当額」として処理されます。
- 通常の配当金: 配当所得(分離課税・20.315%)。確定申告で「配当控除」を活用可能。
- 配当金相当額: 雑所得(総合課税)。給与所得など他の所得と合算され、累進課税の対象。
雑所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になる上、課税所得が高い人ほど高い税率(最大約55%)が適用されてしまいます。
「配当控除」も使えなくなるため、高配当株を貸株に出すと税制面で大きく損をするケースがあります。
2. 株主優待の「長期保有特典」がリセットされる
株主優待を実施している銘柄を貸株に出すと、名義が一時的に証券会社等に移ります。
権利確定日に自動で返却される設定にしていても、「株主番号」が変わってしまうリスクがあります。
これにより、「1年以上継続保有でカタログギフト贈呈」といった長期保有フラグがリセットされ、本来もらえるはずだった優待権利を失うことになります。
3. 証券会社の破綻リスク(分別管理の対象外)
通常、証券会社で保有している株式は金融商品取引法に基づき「分別管理」されているため、万が一証券会社が破綻しても資産は差し押さえられず、全額が手元に戻ります(不祥事等で不備があった場合でも投資者保護基金により1,000万円まで補償されます)。
しかし、貸出中の株式は「分別管理」および「投資者保護基金」のどちらの対象からも外れます。
完全に無担保で証券会社に資産を貸し出している状態(信用リスクを負う状態)になるため、万が一の破綻時には株が返ってこないリスクがある点は頭に入れておく必要があります。
この証券会社破綻時のリスクが最も重要だと考えています。
運用金額が少なければ泣き寝入りで住むでしょうが、1億2億が返ってこないとなったら目も当てられません。
実際どれくらいの金利が得られるのか
金利0.1%だとした場合、以下のようになります。
※金利は銘柄により年0.1%〜高いものは数%まで幅があります。
税引後(約20.315%控除)の実際の受取額
| 投資額 | 年間利息(税引前) | 年間手取り(税引後) | 月額換算(手取り) |
| 100万円 | 1,000円 | 約797円 | 約66円 |
| 500万円 | 5,000円 | 約3,984円 | 約332円 |
| 1,000万円 | 10,000円 | 約7,968円 | 約664円 |
| 1億円 | 100,000円 | 約79,685円 | 約6,640円 |
こんなもんです。
少ないと感じるか多いと感じるか・・・
今の自分は100円でも入ってきたらありがたいという「感覚」なので迷うことなく貸株をしていますが、今後資産が増えていったら・・・躊躇するタイミングが出てくるのかもしれません。
「じゃあ、どの銘柄なら貸株にして良いのか?」
迷った時は、以下のフローチャートを参考にしてみてください。
【貸株運用のテクニカル判断チャート】
① 保有銘柄が「株主優待(特に長期保有特典)」を実施しているか?
├─ YES → 【貸株オフ】(または「優待優先コース」に設定)
└─ NO → ②へ
② 貸株金利は「年0.5%以上」ついているか?
├─ YES(ボーナス金利銘柄) → 税金の差額を差し引いてもプラスのため【貸株オン】
└─ NO(年0.1%等の標準金利) → 雑所得化のリスクを考慮し【貸株オフ】で通常保有
③ 証券会社の自動返却設定を活用しているか?
└─ 「株主優待優先コース」「自動返却機能」を必ず有効化しておく
自分の資産ステージに合わせて賢く使い分けよう
貸株サービスは、決して「やるな」というわけではありません。
大切なのは自分の資産規模と取れるリスクに合わせて使い分けることです。
- 資産形成期: 小さなキャッシュフローを大切にし、自動返却設定の上で賢く金利を受け取る。
- 資産成熟期: 金利の「目先の小銭」にとらわれず、分別管理の安全枠(全額保証)や配当控除の節税メリットを優先する。
手持ちの証券口座を開き、自分の今の資産ステージに合った貸株設定になっているか、ぜひチェックしてみてください。
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