MMPAです。
前回の記事では、バフェット係数と金利の関係を整理しました。
今回は、過去の大暴落時にバフェット係数がどのような水準だったかを振り返り、投資判断にどう活かせるかを考察します。
株式市場全体の割高・割安感をつかむためには、単なる数値だけでなく、過去の事例や経済環境とあわせて見ることが重要です。
1. バフェット係数のおさらい
バフェット係数は、株式市場全体の時価総額をGDPで割った値です。投資家ウォーレン・バフェットが、市場全体の割高・割安感をざっくり把握する指標として使っていることで知られています。
- 計算式: バフェット係数=株式市場全体の時価総額GDPバフェット係数 = \frac{株式市場全体の時価総額}{GDP}バフェット係数=GDP株式市場全体の時価総額
- 目安:
- 100%前後 → 妥当水準
- 120〜130% → 過熱気味
- 150%以上 → 高リスク
単独では「市場の温度感」を示すだけですが、金利や信用状況、経済イベントと組み合わせることで、実践的な投資判断の参考になります。
マンガでわかる バフェットの投資術(SIB)【電子書籍】2. リーマンショック(2008年)の事例
- 時期:2008年9月、米リーマン・ブラザーズ破綻
- S&P500のピーク時バフェット係数:約120%
- 暴落幅:リーマンショック前後で約50%下落
リーマンショック時は、バフェット係数がやや高めの水準にありましたが、暴落の直接的トリガーは信用収縮でした。係数だけで暴落は予測できませんが、「やや過熱している」という目安にはなります。また、金利はすでに低下傾向でしたが、信用市場の急激な縮小が株価を押し下げたため、係数だけでリスク判断するのは不十分だと分かります。
3. コロナショック(2020年)の事例
- 時期:2020年2〜3月
- S&P500のバフェット係数:約150%前後
- 暴落幅:約35%下落
コロナショックでは、係数が高水準にあり、すでに市場は割高感が強まっていました。しかし、暴落の直接的原因は世界的パンデミックによる経済活動の停止でした。低金利環境であったため、株価は短期間で回復しました。この事例からも、バフェット係数は単独で暴落タイミングを予測する指標ではなく、割高かどうかの目安として活用するものであることがわかります。
4. 実践的な読み方
過去の暴落事例から学べる実践的なポイントを整理します。
- バフェット係数と金利をセットで確認する
- 高係数でも低金利なら市場は耐えやすく、長期投資の許容範囲となる
- 高係数かつ金利上昇局面では、調整リスクが高まる
- 過去の調整局面を参考にリスク感覚を把握する
- リーマンショックやコロナショックの下落幅と係数の水準を比較することで、資金管理や分散投資の目安にできる
- 単独の指標ではなく複合的に判断する
- バフェット係数だけで投資判断するのではなく、PER・PBR・配当利回り、経済環境や信用状況と組み合わせる
- 長期投資では短期の上下動に惑わされない
- 高係数の割高水準でも、低金利環境や成長企業への投資は回復を見込めることがある
5. 考察
- 過去の暴落では、バフェット係数は高めの水準で推移していたケースが多い
- 単独の係数では暴落の発生タイミングは予測できないが、リスク管理の参考にはなる
- 投資家は、係数の水準・金利環境・企業業績・市場の信用状況を総合的に見て判断する必要がある
- 高係数のときは、分散投資・リスク資金の管理・押し目買いのタイミングを慎重に考える
6. まとめ
- バフェット係数は市場の割高・割安感をざっくり把握する指標
- リーマンショックやコロナショックでは係数がやや高〜高水準
- 単独では暴落タイミングを予測できないが、リスク把握には有効
- 金利・経済環境・信用状況と組み合わせて、実践的に投資判断に活かすことが重要


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