MMPAです。
今回紹介するのは、以前にも紹介したことがある、三菱商事が発表した「洋上風力発電からの撤退」に関する記事です。
●三菱商事が洋上風力から撤退 株価への影響をどう読むか?●
【記事チェック】洋上風力発電は「夢を買う投資」か? ― 三菱商事撤退と過去のブームの教訓
政府が掲げる再エネ戦略の柱の一つであった洋上風力ですが、大手企業の撤退は日本経済にとって大きな代償をもたらす可能性があります。
ロリポップの契約者特典を利用する(PR)■ 三菱商事が撤退、想定外コストで採算割れ
三菱商事は中部電力や米GE系の企業と組み、秋田・千葉沖の3海域で洋上風力を進める予定でした。ところが、ウクライナ戦争や中東情勢の影響で資材価格が急騰。想定外のコスト増に耐えられず、多額の違約金を払ってでも撤退を決断しました。
三菱商事ほどの総合商社が断念した以上、他の事業者も容易ではありません。政府の「第7次エネルギー基本計画」で再エネ比率40〜50%を目指す中、柱の一つだった洋上風力が揺らいでいます。
■ エネルギー政策と電力コストの重圧
火力発電は依然として7割を占め、輸入燃料と円安が重なり電力コストは上昇基調。家計負担の増大に加え、AIデータセンターなど新産業の電力需要増加にも対応できるかが課題です。米中は洋上風力や太陽光を拡大し、クリーンエネルギー競争で先行。日本が遅れを取れば、AI開発競争でも不利になる恐れがあります。
■ 見通しの甘さと世界的課題
三菱商事の見通しが甘かったのは事実ですが、洋上風力の難しさは世界共通です。欧州でもコスト増や風況の変化で事業中止や縮小が相次いでいます。各国は太陽光や原子力へシフトし始めており、日本もエネルギー源の組み合わせを柔軟に見直す局面にあります。
■ 今後の焦点:再公募と政策修正
政府は3海域を再公募する方針ですが、形式や評価方法をどう変えるかがカギです。政府関与を強めればリスクは減るものの効率性低下の懸念もあります。あわせて、太陽光・CCS・次世代原子力など多様な発電技術を組み合わせる戦略が不可欠です。
■ MMPAの考察
今回の撤退は「一企業の失敗」ではなく、日本のエネルギー政策そのものの不安定さを示していると思います。AIやデジタル産業の競争力は電力供給に直結し、国の競争力を左右します。再エネの一本足打法ではなく、現実的かつ多様な電源戦略をどう組み立てるかが問われています。
電力料金の上昇は投資家にとってもリスク要因。エネルギー株や電力株の動向を注視する必要がありますし、中長期の成長産業に投資するうえでも「電力供給の安定性」を外しては語れないと感じます。


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